

この記事を書いた人|高正熊生(たかまさくまお)(TOEIC920・英検準1級)
英語サービス選びの専門家|英語サービス60社以上を体験/取材
インド式英語とは?意味は2つある
インド式英語という言葉には、じつはまったく違う2つの意味があります。
1つはインドの人たちが日常で話している英語そのもの、つまりインド英語を指します。
もう1つは、日本人が英語を話せるようになるために作られた学習法としてのインド式英語です。
検索して出てくる説明が噛み合わないと感じたなら、原因はここにあります。
片方は音の話をしていて、もう片方は文の作り方の話をしているからです。
この記事では、2つとも最後まで説明します。
①インド英語=インドで実際に話されている英語のこと。
②インド式英語学習法=『英語は「インド式」で学べ!』(安田正 著・ダイヤモンド社)で紹介された学習法。
②で使う動詞は sound・find・give の3つだけ。
この記事では①→②の順で、どちらも最後まで説明します。
インド英語
インド英語は、インドで実際に使われている英語をまとめて呼ぶ言い方です。
インドでは英語が行政・教育・ビジネスの共通語として広く使われています。
話し手の母語はヒンディー語やタミル語など数多くあり、その音の癖が英語にそのまま乗ります。
だから同じ英語でも、アメリカやイギリスの英語とは聞こえ方がかなり変わるわけです。
ただしインド英語は崩れた英語ではありません。
地域に根づいて定着した、ひとつの英語の形だと考えてください。
実際、IT業界やグローバル企業ではインド出身の話者と英語でやりとりする場面が日常的にあります。
その場で「聞き取れない」と固まってしまうと、仕事そのものが止まります。
だからインド英語は、避けるものではなく慣れておくものなのです。
インド式英語学習法
もう1つのインド式英語は、日本人向けの学習法を指します。
代表的なのが、ダイヤモンド社から出ている『英語は「インド式」で学べ!』(安田正 著)です。
この本では sound・find・give という3つの動詞を軸に、英文を組み立てる方法が紹介されています。
難しい動詞を覚える前に、まず3つの動詞で言いたいことを形にしてしまおうという考え方です。
第4章では「3つの動詞」で英語のカタチを理解することが学習の中心に置かれています。
つまりインド式英語学習法とは、英語の骨組みを最小限の部品で作る練習だと言えます。
部品が少ないほど、迷う時間は短くなるのです。
話す場面で必要なのは、正確さより速さであることも多いのです。
インド式英語の特徴3つ
ここからはインド英語のほうの話です。
インド英語の聞こえ方を決めているのは、発音・文法・リズムの3つに整理できます。
順番に見ていきましょう。
- ①発音=v と w の区別があいまい・r を強く出す・th が t や d に寄る
- ②文法=前置詞の使い方が独特(discuss about / order for など)
- ③リズム=音のタイミングが一定で、強弱の波が小さい
発音の特徴
いちばん目立つのは子音の出し方です。
v と w の区別があいまいになり、very が wery のように聞こえることがあります。
r をはっきり強く出すのも特徴のひとつです。
th の音が t や d に寄るため、think が tink のように響く場合もあります。
t の音が日本語のラ行に近く響くこともあり、water がウォーラーのように聞こえる場面もあります。
母音の長さも、英米の英語とは少しずれているのです。
この3つが重なると、知っているはずの単語が別の単語に聞こえます。
単語を知らないのではなく、音の形が想定と違うだけなのです。
だから対策は語彙を増やすことではありません。
音の形のほうを覚え直すのが正解になります。
文法の特徴
文法では前置詞の使い方に癖が出るのが特徴です。
たとえば discuss about や order for といった形が使われます。
学校で習った英語とは少しずれますが、意味は問題なく通じます。
現在進行形を広めに使うのもインド英語でよく見られる傾向です。
会話の相づちや言い回しにも、インドならではの形があります。
ただし文法の違いは、聞き取りの邪魔にはほとんどなりません。
引っかかるとしたら、やはり音のほうでしょう。
文法が違うから通じない、という話ではないのです。
リズムの特徴
3つ目はリズムです。
英語は本来、強く読む音と弱く読む音の差が大きい言語です。
ところがインド英語では、音の長さがそろって聞こえます。
その結果、どこが文の山なのかがつかみにくくなります。
リズムの違いこそ、インド英語が難しいと言われる最大の理由です。
逆に言えば、リズムに慣れた人はインド英語で困りません。
単語も文法も、これまで学んできたものがそのまま通用します。
インド式英語のリスニングが難しい理由
インド式英語だけ、どうしても聞き取れない。
単語は知っているはずなのに、何を言われているか分からない。
この感覚には、はっきりした理由があります。
理由は3つに分けられます。
| 難しさの正体 | 何が起きているか | 対処 |
|---|---|---|
| 母語の音が乗る | ヒンディー語やタミル語の音の癖が英語に混ざる | その癖を先に知っておく |
| リズムが平ら | 強弱の波が小さく、文の切れ目が読めない | 区切りではなく単語のかたまりで拾う |
| 話す速度 | テンポが速く、言い直しが少ない | 同じ話者の音声を繰り返し聞く |
1つ目は、話し手の母語の音が英語に乗ることです。
インドにはヒンディー語やタミル語をはじめ多くの言語があり、それぞれ音の組み立て方が違います。
その癖が英語に混ざるため、同じ単語でも音の形が想定とずれます。
2つ目はリズムです。
強弱の波が小さいと、どこで文が切れているのかが分かりません。
英語のリスニングは、実は「切れ目を当てる作業」に近いところがあります。
切れ目が読めないと、知っている単語すら拾えなくなります。
3つ目は話す速度です。
テンポが速く、言い直しや言い換えが少ない話し方をする人が多くいます。
この3つが重なって、インド英語は難しいと言われるわけです。
逆に言えば、3つとも慣れで解ける問題でしかありません。
知らない文法が出てくるわけではないからです。
練習の型はシンプルで、同じ音声を3回聞くだけでも変わります。
1回目は内容をつかむために通して聞きます。
2回目は聞き取れなかった場所に印を付けながら聞きましょう。
3回目は文字起こしを見ながら、音と文字を結び直します。
この3回の往復こそが、聞こえなかった音に輪郭を与えるものです。
速度を落とすより、同じ音声を繰り返すほうが近道になります。
インド式英語の訛りと地域差
インド英語はひとつではありません。
インドは地域ごとに主要な言語が違うため、英語の訛りも一様ではないのです。
北インドと南インドでは、母語として使われる言語系統そのものが異なります。
そのため同じインド英語でも、地域が変われば聞こえ方が変わるのです。
「インド訛りに慣れた」と思っても、別の地域の話者でまた戸惑うことがあります。
インド英語は1種類ではなく、地域ごとに音の癖が違う。
だから特定の1人の音声を繰り返し聞くほうが、いろいろな話者をつまみ食いするより早く慣れる。
1人に慣れると、その人を基準にして他の話者の癖が測れるようになります。
最初から幅広く聞こうとすると、どの癖が誰のものか整理できません。
まず1人を決めて、その人の音を体に入れるのが近道です。
インド英語に限らず、訛りへの慣れ方はこれが基本になります。
IT企業やコールセンターの現場でインド英語に触れる人が増えているのも、慣れが必要とされる背景でしょう。
仕事で急に必要になってから慌てる人は少なくありません。
そうなる前に耳を作っておくと、当日の負担がまるで変わります。
準備といっても、特別な教材を買う必要はありません。
インド出身の話者が話している動画を1本決めて、繰り返し聞くだけで十分です。
同じ人の声を何度も聞くうちに、音の並びが予測できるようになります。
予測ができると、多少聞き取れない部分があっても文の意味は追えるのです。
インド英語は、準備しておけば十分に追いつける相手です。

インド式英語学習法の3つの動詞
ここからは2つ目の意味、学習法としてのインド式英語に移ります。
『英語は「インド式」で学べ!』(安田正 著・ダイヤモンド社)が軸に置くのが3つの動詞です。
その3つとはsound・find・giveになります。
この3つで英文の骨組みを作ってしまおう、というのが基本の発想です。
動詞を増やすより先に、言いたいことを形にする回路を作るわけです。
- sound=「〜に聞こえる・〜そうだ」で、感想と印象を出す
- find=「〜だと分かる・〜だと感じる」で、判断を出す
- give=「〜を渡す・〜をもたらす」で、やりとりを出す
sound
sound は印象を伝える動詞です。
That sounds good. で「よさそうですね」が言えます。
It sounds difficult. なら「難しそうですね」です。
That sounds interesting. なら「おもしろそうですね」が伝わります。
You sound busy. なら「忙しそうですね」です。
相手の話に反応を返すとき、sound だけでほとんど足ります。
会話が止まる原因の多くは、反応の言葉が出てこないことです。
反応さえ返せれば、相手が次の話を続けてくれます。
find
find は判断を伝える動詞です。
I find it useful. で「役に立つと思います」が伝わります。
I found the book interesting. は「その本はおもしろかったです」にあたる言い方です。
I find it difficult. なら「難しいと感じます」になります。
think を使わずに意見が言えるのがポイントです。
I think ばかりになる人ほど、find を覚えると幅が出ます。
同じ内容でも、言い方の引き出しが増えると会話は続きます。
give
give はやりとりを表す動詞です。
Give me a call. で「電話してください」が言えます。
This gives me an idea. は「それで思いつきました」にあたる表現です。
Give me a minute. で「少し待ってください」が言えます。
give は物だけでなく、情報や機会を渡すときにも使えます。
日本語の「あげる」より、ずっと守備範囲が広い動詞なのです。
この広さがあるから、3つのうちの1つに選ばれています。
3つの動詞に共通しているのは、意味の幅が広いことです。
幅が広い動詞は、言いたいことを受け止める器が大きくなります。
逆に意味の狭い動詞ほど、使える場面が限られてしまうのです。
まず器の大きい動詞から覚えるのが、話すための最短ルートになります。
インド式英語の例文
3つの動詞が実際にどう使えるのかを、例文で確かめましょう。
どれも中学で習う単語だけで組み立てられています。
| 言いたいこと | 3つの動詞で言うと | 使う動詞 |
|---|---|---|
| よさそうですね | That sounds good. | sound |
| それは大変そうですね | That sounds hard. | sound |
| 役に立つと思います | I find it useful. | find |
| 思ったより簡単でした | I found it easier than I expected. | find |
| 電話してください | Give me a call. | give |
| それで思いつきました | This gives me an idea. | give |
| おもしろそうですね | That sounds interesting. | sound |
| 忙しそうですね | You sound busy. | sound |
| 難しいと感じます | I find it difficult. | find |
| 少し待ってください | Give me a minute. | give |
表のとおり、難しい単語はひとつも出てきません。
言いたいことを、知っている単語の側へ寄せるのがインド式英語学習法の考え方です。
完璧な言い回しを探している間に、会話は次へ進んでしまいます。
まず形にして、正確さは後から足していけば十分でしょう。
この順番こそが、話せるようになる人とならない人を分けています。
たとえば「この資料は役に立ちました」と言いたい場面です。
helpful や beneficial を探しにいくと、そこで手が止まります。
I found it useful. なら、知っている単語だけで同じことが伝わるのです。
「それは大変でしたね」も同じ要領で言えます。
That sounds hard. と言えば、気持ちは十分に届くはずです。
難しい言い方を探すのをやめた瞬間に、会話の速度が上がります。
難しい動詞が思い浮かばないときほど、sound・find・give に置き換えられないか考える。
言い換えられた瞬間に、その文はもう話せる文になります。
慣れてきたら、そこから動詞を1つずつ増やしていけば十分です。
インド式英語が向く人・向かない人
インド式英語学習法は万能ではありません。
向いている人と、そうでない人がはっきり分かれます。
| タイプ | 向き・不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 言いたいことが英語で出てこない人 | 向いている | 3つの動詞で形にする練習がそのまま効く |
| 文法は分かるのに話せない人 | 向いている | 知識を使う回路がまだできていない |
| 発音をネイティブに寄せたい人 | 向かない | 発音を整える学習法ではない |
| 試験のスコアを上げたい人 | 向かない | 読解や語彙の対策は別に必要 |
向いているのは、頭の中の日本語が英語にならずに止まってしまう人です。
このタイプは知識が足りないのではなく、知識を出す回路ができていないだけだと言えます。
3つの動詞は、その回路を作るための練習です。
逆に、発音をネイティブに近づけたい人には向きません。
インド式英語学習法が扱うのは、あくまで文の組み立て方だからです。
試験のスコアを狙う場合も、語彙や読解の対策を別に用意する必要があります。
目的が「話す」ことなら効く、「測る」ことなら別の手を打つと考えてください。
この線引きを間違えると、合わない教材を続けて時間を失います。
自分がどちらなのかは、簡単なテストで分かります。
頭に浮かんだ日本語を、10秒以内に英語にできるか試してみてください。
できないなら、足りないのは知識ではなく出す練習です。
そのタイプにこそ、3つの動詞の練習がはまります。
逆に10秒で英語が出るなら、次に必要なのは語彙と発音の精度でしょう。
その段階の人がこの学習法に戻っても、得られるものは多くありません。
自分がどの段階にいるかを先に決めてから教材を選んでください。
インド式英語の練習メニュー
3つの動詞を使えるようにするには、決まった手順を回すのがいちばん確実です。
1日15分で組めるメニューを出します。
- ①5分=日本語を3つ用意して、sound・find・give で英語にする
- ②5分=インド英語の音声を1本聞いて、聞き取れなかった所に印を付ける
- ③5分=印を付けた所を文字で確かめて、もう一度聞く
①でいちばん大事なのは、正解を探さないことです。
「よさそう」なら sound、「思う」なら find、「渡す」なら give と機械的に振り分けてください。
振り分けたら、あとは主語と目的語を置くだけになります。
この振り分けが速くなると、話し出すまでの時間が短くなります。
②では、音声は1分程度の短いもので構いません。
長い音声を最後まで聞くより、短いものを何度も聞くほうが定着します。
印を付けるのは、あとで戻るためです。
③は答え合わせの工程になります。
文字で見れば知っている単語だった、という経験を何度もするはずです。
その「知っていたのに聞こえなかった」の積み重ねが、耳を作ります。
逆に言えば、知らない単語は聞こえなくて当然なので気に病む必要はありません。
時間を延ばすより、毎日同じ時間にやるほうが続きます。
3日空いたら、また①から戻って構いません。
回数を数えず、聞き取れた実感が増えたかどうかで測ってください。
インド式英語に慣れる練習法
最後に、インド英語の音に慣れるための実際の手順を出します。
順番を守ると、遠回りになりません。
- ①音の癖を先に知る=v/w・r・th の3点だけ頭に入れる
- ②同じ話者の音声を繰り返し聞く=1人に絞って基準を作る
- ③実際に話す=聞き取れなかった所をその場で聞き返す
①でやることは、この記事の特徴3つを読み返すだけで十分です。
癖を知っているかどうかで、同じ音声の聞こえ方が変わります。
②では、いろいろな話者に手を出さないのが大事です。
1人の音を基準にできると、他の話者の癖も測れるようになります。
③は、聞くだけでは埋まらない部分を埋める工程です。
聞き返した瞬間に、相手は言い方を変えて説明してくれます。
そのやりとり自体が、いちばん密度の高い練習です。
聞き返すときの言い方も決めておくと迷いません。
Could you say that again? の1文で足ります。
Sorry, I did not catch that. も使いやすい言い方です。
聞き返すのは失礼ではなく、会話を前に進める行為になります。
黙ってうなずいて流すほうが、あとで困ることになるでしょう。
聞き返した回数は、そのまま伸びた量だと考えてください。
最初の数回は勇気が要りますが、回数を重ねるほど抵抗は小さくなります。
相手も、聞き返されたほうが安心して話を進められるのです。
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動画で耳を慣らしたいなら、こちらが参考になります。

インド式英語のよくある質問
ここまでで触れなかった疑問をまとめます。
- インド式英語とインド英語は同じものですか?
-
別のもので、インド英語はインドで実際に話されている英語を指し、インド式英語学習法は日本人向けに作られた英語の組み立て方を指します。
- インド式英語の3つの動詞は何ですか?
-
『英語は「インド式」で学べ!』(安田正 著・ダイヤモンド社)で紹介されている sound・find・give の3つです。
- インド式英語は英語として通じますか?
-
発音とリズムに癖はあっても文法も語彙も英語そのものなので、問題なく通じます。
- インド英語のリスニングはどう練習すればいいですか?
-
音の癖を先に知ったうえで、話者を1人に絞ってその音声を繰り返し聞くのがいちばん早いです。
- インド式英語学習法は初心者でもできますか?
-
使う動詞が3つだけなので、中学レベルの単語があれば初心者でも始められます。
- 発音をきれいにしたい人にも向いていますか?
-
インド式英語学習法が扱うのは文の組み立て方なので、発音を整えたい人には向きません。
インド式英語のまとめ
この記事の要点を最後に並べます。
インド式英語にはインド英語とインド式英語学習法の2つの意味がある。
インド英語の特徴は発音・文法・リズムの3つで、聞き取りを難しくしているのは主にリズム。
インド式英語学習法の軸は sound・find・give の3つの動詞(『英語は「インド式」で学べ!』安田正 著)。
向いているのは、言いたいことが英語で出てこない人(発音を整えたい人には向かない)。
音に慣れる順番は、癖を知る→1人の音声を繰り返す→実際に話して聞き返す。
インド英語は、仕事や旅行で出会うことの多い英語です。
聞き取れないままにしておくと、その場面だけ会話が止まります。
逆に慣れてしまえば、話せる相手が一気に広がるのです。
3つの動詞のほうも、今日から口に出して試せます。
まずは That sounds good. の1文から使ってみてください。
この1文が口から出るようになると、次の1文も出てきます。
インド英語のほうも、身構えるほど特殊な英語ではありません。
音の癖を3つ知って、同じ話者を繰り返し聞くだけで景色が変わります。
英語が話せるようになる過程は、だいたいこの積み重ねです。
インド式英語は、その最初の1歩を短くしてくれる考え方だと言えます。
聞き返せる相手がいると、音の癖は一気に埋まります。
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