英語の句動詞は、動詞と前置詞や副詞がくっついて別の意味になる表現で、ネイティブの日常会話の中心を占めています。
難しい単語を知らなくても会話が成立するのは、この句動詞が使われているからです。逆に言えば、句動詞が分からないと簡単な語だけの文が理解できません。
この記事では、句動詞の仕組みを後ろに付く語のイメージから解き明かし、日常会話とビジネスで使用頻度の高いものを一覧で示します。
英語のリスニングで、単語はすべて聞き取れているのに意味が分からない、という経験をした人は多いはずです。
その原因のかなりの部分が句動詞にあります。get、put、take、come、go といった中学レベルの動詞が、後ろに付く語ひとつで意味を大きく変えるためです。
たとえば put off は「延期する」、put up with は「我慢する」で、どちらも put の元の意味からは想像しにくい形です。
英語のネイティブは、フォーマルな場面では postpone や tolerate を使いますが、日常会話ではほぼ句動詞のほうを選びます。
つまり難しい単語を増やすより、句動詞を押さえたほうが、会話の理解度は速く上がるということです。
句動詞は数が多く見えますが、後ろに付く語のイメージを先に整理すると、丸暗記する量は大きく減らせます。
【結論】句動詞は「動詞+方向」で意味が決まる
句動詞を攻略する鍵は、動詞ではなく後ろに付く語のほうにあります。up、down、out、in、off、on、over、through。この8つが意味の核を握っています。
| 後ろの語 | 中心のイメージ | 例 | 意味 |
|---|---|---|---|
| up | 上へ・完全に・出現 | eat up | 食べ尽くす |
| down | 下へ・減少・記録 | write down | 書き留める |
| out | 外へ・消える・徹底的に | find out | 探り出す |
| in | 中へ・参加 | join in | 加わる |
| off | 離れる・切り離す | take off | 脱ぐ・離陸する |
| on | 接触・継続 | go on | 続ける |
| over | 越える・全体を覆う | go over | 見直す |
| through | 通り抜ける・最後まで | get through | やり遂げる |
この8つのイメージを持っておくと、初めて見る句動詞でも意味の見当がつくようになります。
たとえば burn out という表現を初めて見たとき、burn は燃える、out は消えるというイメージから、燃え尽きるという意味が推測できます。
同じように work out は、work という動作を out すなわち外へ出し切る形なので、運動する・うまくいくという意味につながります。
推測が外れることもありますが、当たる確率が上がるだけで学習効率は大きく変わります。
句動詞を1つずつ和訳で覚えるのをやめ、後ろの語のイメージから組み立てる。これが遠回りに見えていちばん速い方法です。
句動詞のupが持つ4つの意味
後ろに付く語の中で最も出現頻度が高いのが up です。up には上方向という基本の意味のほかに、3つの派生した意味があります。
- 上へ移動する(stand up/pick up)
- 完全に・すっかり(eat up/use up/drink up)
- 現れる・生じる(show up/come up/turn up)
- 近づく(walk up to/catch up with)
2番目の「完全に」という意味が、日本人にとって最も盲点になりやすい用法です。
eat と eat up の違いは、食べたか食べ切ったかです。Did you eat it? は食べたかを聞いていますが、Did you eat it up? は残さず食べたかを聞いています。
同じく clean up は片づけ終えること、fill up はいっぱいにすることで、いずれも完了のニュアンスが加わります。
3番目の show up は「姿を現す」で、会議や約束の場面で頻出します。He didn't show up. は来なかったという意味です。
upが付いたら「上」か「完全に」か「現れる」のどれかだ、と3択に絞るだけで、理解の速度が変わります。
句動詞のoutとoffの違い
out と off はどちらも「離れる」印象があるため混同されやすい組み合わせです。違いは、どこから離れるかにあります。
| 語 | 離れ方 | 例 | 意味 |
|---|---|---|---|
| out | 内側から外へ出る | go out/take out/run out | 外出する/持ち出す/尽きる |
| off | 接していた面から離れる | take off/get off/turn off | 脱ぐ/降りる/消す |
outは箱から出るイメージ、offは貼りついていたものが剥がれるイメージだと考えると区別できます。
だから車から降りるのは get out of the car、電車から降りるのは get off the train になります。
車は囲まれた空間なので外へ出る、電車は床という面に乗っているので離れる、という違いです。
out にはもう1つ、「尽きる」という重要な意味があります。run out of time は時間が尽きること、sold out は売り切れです。
中身が全部外へ出てしまって空になった、という発想でつながっています。
日常会話で使用頻度が高い句動詞20個
ここからは、実際に覚える価値の高い句動詞を場面別に並べます。まずは日常会話で頻出する20個です。
| 句動詞 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| get up | 起きる | I get up at six. |
| wake up | 目が覚める | I woke up late. |
| put on | 身につける | Put on your coat. |
| take off | 脱ぐ/離陸する | Take off your shoes. |
| turn on | 電源を入れる | Turn on the light. |
| turn off | 電源を切る | Turn off the TV. |
| pick up | 拾う/車で迎えに行く | I'll pick you up. |
| drop off | 車で送り届ける | Can you drop me off? |
| look for | 探す | I'm looking for my key. |
| find out | 調べて分かる | I found out the truth. |
| give up | あきらめる | Don't give up. |
| hang out | ぶらぶら過ごす | Let's hang out. |
| show up | 現れる | He didn't show up. |
| run out of | 切らす | We ran out of milk. |
| come across | 偶然出会う | I came across an old friend. |
| get along with | 仲良くやる | I get along with her. |
| look forward to | 楽しみにする | I look forward to seeing you. |
| figure out | 理解する・解明する | I can't figure it out. |
| work out | 運動する/うまくいく | It worked out well. |
| calm down | 落ち着く | Calm down. |
この20個は、英語圏で1日過ごせば必ず耳にするレベルの頻度です。優先して覚える価値があります。
pick up と drop off は、車社会の国では毎日のように使われます。空港や駅での待ち合わせでも頻出します。
look forward to は、後ろが動名詞になる点に注意が必要です。to が不定詞ではなく前置詞だからです。
I look forward to see you. は誤りで、seeing にします。ここは試験でもビジネスメールでも問われる頻出点です。
ビジネスで使う句動詞15個
仕事の場面では、日常会話とは別の句動詞群が使われます。会議やメールで出会う頻度が高いものを集めました。
| 句動詞 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| set up | 設定する・手配する | set up a meeting |
| put off | 延期する | put off the deadline |
| call off | 中止する | call off the event |
| follow up | 追って対応する | I'll follow up on this. |
| carry out | 実行する | carry out a survey |
| go over | 見直す・確認する | Let's go over the numbers. |
| bring up | 話題に出す | bring up the issue |
| point out | 指摘する | point out the error |
| look into | 調査する | look into the problem |
| take over | 引き継ぐ | take over the project |
| lay out | 詳しく説明する | lay out the plan |
| come up with | 思いつく | come up with an idea |
| fill out | 記入する | fill out the form |
| hand in | 提出する | hand in the report |
| sign off on | 承認する | sign off on the budget |
この15個は、外資系の会議で1時間座っていれば大半が登場するほどの頻度で使われます。
とくに follow up は、メールの締めくくりで極めてよく使われる表現です。I'll follow up next week. で、来週また連絡すると伝えられます。
come up with は、アイデアや解決策を出すという意味で、会議中に最も耳にする句動詞のひとつです。
これらを知らないと、簡単な単語しか使われていないのに話の内容が追えない、という状況が起きます。
句動詞の語順ルール(目的語をどこに置くか)
句動詞で意外と間違えやすいのが語順です。目的語を真ん中に入れられる型と、入れられない型があります。
| 型 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 分離可能 | 目的語を間に入れてもよい | turn off the light / turn the light off |
| 分離不可 | 間に入れられない | look for the key(look the key for は誤り) |
そして最も重要なのが、目的語が代名詞のときは必ず間に入れるという規則です。
turn it off とは言えますが、turn off it とは言えません。pick me up は正しく、pick up me は不自然です。
この規則は分離可能な句動詞にだけ当てはまります。分離不可の型では、代名詞でも後ろに置きます。
look for it、get over it のように、こちらは間に入れません。
分離可能かどうかは辞書に記載があります。よく使うものだけ確認しておけば、会話で困る場面はほとんどありません。
句動詞と1語の動詞はどう使い分けるか
同じ意味を表す句動詞と1語の動詞がある場合、どちらを使うべきか迷うことがあります。基準は場面のかしこまり度です。
| 句動詞(日常的) | 1語の動詞(formal) | 意味 |
|---|---|---|
| put off | postpone | 延期する |
| find out | discover | 発見する |
| look into | investigate | 調査する |
| give up | abandon | 放棄する |
| go over | review | 見直す |
| carry out | conduct | 実施する |
会話やチャットでは句動詞、契約書や論文では1語の動詞、というのが大まかな目安になります。
ビジネスメールはその中間で、相手との関係によってどちらも使われます。社内なら句動詞、社外の初回連絡なら1語の動詞が無難です。
日本人の英語は、学校で1語の動詞を中心に学ぶため、会話でも硬くなりがちです。
句動詞を使えるようになると、英語が急に「話し言葉らしく」聞こえるようになります。
句動詞を効率よく覚える4ステップ
句動詞は数が多いため、やみくもに覚えると挫折します。順番を決めて進めるのが確実です。
- 後ろに付く8語(up/down/out/in/off/on/over/through)のイメージを覚える
- 日常会話の頻出20個を例文ごと音読する
- 自分の仕事や生活で使いそうなものだけを15個選んで追加する
- 実際に使ってみて、通じなかったものを記録する
2番で「例文ごと」と書いたのが要点で、句動詞を単体で覚えると使う場面が思い出せません。
pick up だけを覚えても口からは出ません。I'll pick you up at seven. という形で口に入れてはじめて使えるようになります。
3番では、自分の生活に関係ないものを切り捨てる勇気が必要です。句動詞の一覧表には数百個載っていますが、全部覚える必要はありません。
使う予定のない句動詞を覚えても、次の週には忘れています。自分に必要な35個に絞れば、1か月で定着します。
句動詞のリスニング対策
句動詞は聞き取りの難所でもあります。動詞と後ろの語がつながって発音されるため、1語のように聞こえるからです。
- pick it up → ピッキラップ
- get out of → ゲッラウァ
- come on → カモン
- look at it → ルッカリッ
- turn it off → ターニロフ
文字で見れば簡単な語ばかりなのに聞き取れないのは、この音のつながりが原因です。
対策は単純で、自分でその速さで言えるようにすることです。言えない音は聞き取れません。
頻出の句動詞を、実際の会話と同じ速度で口に出す練習を繰り返すと、聞こえ方が変わってきます。
句動詞の音読は、語彙の学習とリスニングの訓練を同時にこなせる、効率のよい練習です。
句動詞を使う練習ができる英会話サービス
句動詞は、知っているだけでは使えるようになりません。会話の中で口から出して、通じるかどうかを確かめる工程が必要です。
とくに語順の規則は、頭で覚えていても話す瞬間には間に合わないため、反復でしか身につきません。
ネイティブキャンプで句動詞を使った会話を毎日繰り返すという使い方は、量を確保したい人に向いています。
レッスン回数に上限がないため、同じ句動詞を何度も使い回す練習と相性のよい形です。
一方、自分の仕事に必要な句動詞を絞り込んでもらいたい人は、学習設計をしてくれる形のほうが早く進みます。
ENGLISH COMPANYで句動詞を含む語彙の優先順位を設計してもらうという選択肢もあります。
どちらを選ぶ場合も、初回に「句動詞を使って話せるようになりたい」と伝えておくと、教材選びから的が絞れます。
同じ句動詞が複数の意味を持つときの読み分け
句動詞を学び始めると、1つの句動詞に辞書で5つも6つも意味が並んでいることに気づきます。ここで挫折する人が少なくありません。
しかし実際の会話では、文脈によって意味は1つに絞られるため、全部を暗記する必要はありません。
| 句動詞 | 意味1 | 意味2 | 見分ける手がかり |
|---|---|---|---|
| take off | 脱ぐ | 離陸する | 目的語があるかどうか |
| pick up | 拾う | 車で迎えに行く | 目的語が物か人か |
| make up | 作り話をする | 仲直りする | 目的語があるかどうか |
| go off | 鳴る | 立ち去る | 主語が機械か人か |
| run into | 偶然出会う | ぶつかる | 目的語が人か物か |
見分ける手がかりの多くは、主語と目的語が人か物かという1点に集約されます。文全体を見れば迷うことはほとんどありません。
take off your coat なら脱ぐ、The plane took off なら離陸するです。目的語の有無だけで判断できます。
辞書を引くときは、意味の一覧を全部読むのではなく、自分が出会った文脈に当てはまるものだけを確認してください。
出会うたびに1つずつ足していけば、結果として複数の意味が自然に身につきます。最初から全部覚えようとしないことが、句動詞学習で最も大事な判断です。
句動詞が使われやすい場面と避けたほうがよい場面
句動詞は万能ではありません。使うと自然に響く場面と、避けたほうがよい場面があります。ここを区別できると、英語の印象が安定します。
- 向いている場面 ── 雑談、社内の打ち合わせ、チャット、電話
- やや注意が必要な場面 ── 社外向けのメール、プレゼンの原稿
- 避けたほうがよい場面 ── 契約書、仕様書、論文、公式な報告書
理由は、句動詞が複数の意味を持ちやすく、厳密さが求められる文書では解釈の余地を生んでしまうからです。
契約書で put off と書くより postpone と書いたほうが、意味が1つに定まります。法的な文書ほど、1語の動詞が好まれるのはこのためです。
逆に、雑談で investigate や abandon のような語ばかり使うと、堅苦しく距離のある印象を与えます。
日本語で考えても、友人との会話で「調査いたします」と言わないのと同じ感覚です。
句動詞と1語の動詞を両方持っておき、相手と場面で切り替える。これができると、英語の運用力は一段上がります。
英語の句動詞に関するよくある質問
句動詞は何個覚えればいいですか?
日常会話の頻出20個と、自分の仕事や生活で使う15個ほどを合わせた35個程度から始めるのが現実的です。一覧表には数百個載っていますが、使う予定のないものを覚えても定着しません。使う場面が想像できるものだけに絞ってください。
句動詞と熟語は同じものですか?
句動詞は熟語の一種で、動詞に前置詞や副詞が付いた形を指します。熟語にはこのほかに、in front of のような前置詞のかたまりや、by the way のような決まり文句も含まれます。句動詞は動詞が中心にあるもの、と区別してください。
turn off it と言えないのはなぜですか?
分離可能な句動詞では、目的語が代名詞のとき必ず動詞と副詞の間に入れるという規則があるためです。turn it off が正しい形になります。代名詞は情報として軽いため、文の末尾という目立つ位置に置かない、という英語全体の傾向とも一致しています。
ビジネスメールで句動詞を使っても失礼になりませんか?
社内や取引のある相手であれば問題ありません。初めて連絡する相手や契約に関わる文書では、postpone や investigate のような1語の動詞を選ぶほうが無難です。相手との距離に応じて使い分けてください。
句動詞が聞き取れません。どうすればいいですか?
動詞と後ろの語がつながって発音されるため、1語のように聞こえるのが原因です。対策は、自分でその速さで言えるようにすることに尽きます。pick it up をピッキラップと言えるようになると、同じ速さで聞こえるようになります。
まとめ|句動詞は後ろの語のイメージで覚える
最後に要点を整理します。
- 句動詞は「動詞+方向を示す語」で意味が決まる
- 覚えるべきは up/down/out/in/off/on/over/through の8つのイメージ
- up には「上」「完全に」「現れる」の3つの意味がある
- out は内側から外へ、off は接していた面から離れる
- 代名詞が目的語のときは必ず動詞と副詞の間に入れる
- 日常会話20個+自分用15個の計35個から始める
句動詞は、難しい単語を増やすより会話の理解度を上げる効率がよい領域です。
一覧を眺めて終わりにせず、例文ごと口に入れて、実際の会話で使ってみてください。
句動詞が使えるようになると、英語が教科書の言葉から生活の言葉に変わります。



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