「リスニング問題、全然聞き取れなかったと思ったら、全部知ってる単語だった…」
「発音しっかり学んだのに、なんかネイティブ発音に近づけない…」
そんな経験や感覚をお持ちではありませんか?
これらの問題は、英語が音声変化という性質を持っているがゆえに発生するもの。
その音声変化については学校英語でチラッと触れるものの、実際に出来ている人はかなり少ないです。
どれくらい少ないかというと英検準一級の所持やTOEICで800 Overしている人でも、英語の音声変化をしっかり活用出来ていない人も少なくないくらいです。
それは裏を返せば、英語の音声変化を身につけてしまえば、英語”学習者”から一線を画して、かなりネイティブに近づく事が出来るという事!
この記事では、その英語の音声変化について、具体的な現象とその訓練の仕方、おすすめの教材についてお伝えしていこうと思います。
私も初めて留学した時に、TOEICも500あたりで英検も2級しかもっていなかったにも関わらず、英語の発音と音声変化を意識していた結果「キミほどナチュラルに英語を話す日本人はかなり珍しい」と言われたことがあって、その威力の強さを肌で感じました。
参考(オーバーラッピング法とは?おすすめ英語教材や効果とやり方を徹底解説)
この記事を読み終わる頃には、そんな英語の音声変化について、どんなものであるかと、それを鍛える方法を具体的にイメージ出来るようになるので、ぜひ読んでみてください。
英語の音声変化って何?
突然ですが、ちょっと頭の中で復唱してみてください。
「Hello, my name is Taka. How are you?」
いかがでしたか?
頭の中ではどんな風に発音されましたか?
文字をそのまま読んだならば「ハロー、マイ ネイム イズ タカ。ハウアーユー?」となるはず。
しかし、発音に自信のある方であれば「ハロー、マイネイミズタカ。ハワーユー?」となったのでは?
「それが何だよ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、この差こそが英語”学習者”と英語”使用者”のを分かつ「英語の音声変化」にあたります。
My name-is Taka. How are you? と、下線部分が繋がっている事がわかりますよね?
また、Want toも「ウォント トゥー」ではなく「ウォントゥー」とWant toの部分が繋がって、Tの音が一つになっている事がわかります。
このように、隣り合う文字同士が作用して、発音が繋がったり、あるいは消失してしまうなどの音の変化の事を「英語の音声変化」と呼んでいるわけですね。
と、頑張って文字でお伝えしてきましたが、実際に音声を聞いて頂いた方がわかりやすいかと思いますのでぜひ下の動画をご参照ください↓↓↓
英語の音声変化がわかるとできること
英語の音声変化が分かるようになると、大きく分けて以下の4つについて出来るようになります。
- リスニング力の向上
- スピーキング力の向上
- ライティング等でのスペルミスの減少
- 単語学習の効率化
①リスニング力の向上
冒頭でも触れた「リスニング問題、全然聞き取れなかったと思ったら、全部知ってる単語だった…」という現象について、原因の一つがこの英語の音声変化。
単語一つ一つの音と、文章化された時の音の連結、省略、変形した音は違います。
しかしその法則を掴むことによって、正確に、しかもスピーディに英文を把握しやすくなります。
これについては「英語のオーバーラッピング法」の記事でも触れていますので是非参考にしてください。
動画の例文の「Is she~?」だって、「イズシー」だと思い込んでいたら、それが「Is she」だと気づくのは難しいですよね?
だからこそ、英語の音声変化の法則を感覚的に身につける事で、条件反射で「あぁIs she~?って聞いてるんだな」とわかるようになることで、正確に素早く英文を理解出来るようになるという事ですね。
②スピーキング力の向上
英語の音声変化がわかるようになれば、自分が英語を話す時もそれを応用する事が可能になります。
英語の音声変化を意識するだけでも、一つ一つの発音も洗練されていきます。
それぞれの音の性質を熟知していないと音声変化は自分の口から出せませんからね。
また英語の音声変化がわかるようになると、ネイティブスピーカーが話すようなナチュラルスピード・ナチュラルイントネーションで話しやすくなります。
このナチュラルスピード・ナチュラルイントネーションというのが非常に重要で、完璧な発音をするよりも、英語独特のリズムを体得した方が、ネイティブスピーカーには聞き取りやすいんですよね。
これについても「英語のオーバーラッピング法」の記事で詳しく触れましたので是非ご参照ください。
③ライティングでのスペルミスの減少
「なんで英語の”音声”変化でライティングに関係が?」
そう思われたかもしれませんね?
しかし、英語の音がわかるようになるということは、音を聞いただけでその単語のスペルがわかるようになるという事。
それは、これまで分離していた発音とスペリングの2つのスキルが”リンクする”ことを意味します。
英語の音声変化を意識出来るようになるという事は、聞こえてくる英語からスペルを推測出来るようになるという事。
つまり英語に触れている時間のうちスペルを意識する機会がグッと増えるわけです。
「ホントかよ~」と思われるかもしれないですが、英語を”聞く”ことから”スペルを意識する”という回路が出来上がる事はそれだけ強固に定着しやすい事は、出来るようになってみると身に染みてわかります。(今の私がその状態です。)
ぜひ「聞く」と「スペル」の意識が”リンク”する感覚を身につけて頂きたいです!
④単語学習の効率化
「なんで英語の”音声”変化で単語学習が?」
と思われるかもしれませんが、上記ライティング力の向上についてお読みいただいたあなたならピンとくるのでは?
そう、英語の”音”と”スペル”のイメージが一致することによって「あの単語ってLだったっけ?Rだったっけ?」「この単語はSだったかな?THだったかな?」というような事態が激減するんです。
それまで単語を”視覚”で覚えていたものが”聴覚”によっても判別出来るようになるので、それまでの英単語学習よりグッと効率的に学ぶ事が出来るようになるというわけです。
脳の様々な部分を使って学習することがどれだけ効率的な事かは、「英単語の短時間で効率的な覚え方」の記事でも触れましたので、詳しくはそちらもご参照いただく事をおすすめします。
意識出来るようになるとこんなにたくさんメリットのある英語の音声変化ですが、具体的にはどんなパターンや法則があるのでしょうか?
それについてお伝えしていきましょう。
英語の音声変化の種類
音の連結
英語の音声変化で、まず真っ先に挙げるのがこの「音の連結」です。
My name isは「マイ ネイム イズ」ではなく「マイネイミズ」というように連結しましたよね?
他にも「We can make it」でも「ウィー キャン メイク イット」ではなく「ウィーキャンメイキッ」と連結します。
このように、単語の末尾の音と、単語の頭の音がリンクする現象を「音の連結」と呼びます。
音が連結する上で先ほど挙げた例のように「単語末尾の子音→単語の頭の母音」というパターンが多いですが、「単語末尾の子音→y音」が来ることもあります。
具体的に例を挙げると
・「With you」→「ウィジュー(ウィデゥー)」
・「Would you」→「ウージュー?(ウーデュー?)」
身近な英語フレーズの「Thank you」→「サンキュー」もそうでしたね。
y音は、子音であると同時に半分母音みたいなところもあってややこしく思うかもしれませんが、感覚的に刷り込んでいけば混乱することなく出来るようになっていきますのでご安心ください。
音の消失
参考動画にも「Is she…?」→「イシィ…?」というように音が消失する例がありましたよね?
Is she…?(イシィ)やTake care(テイケーア)のように同じ音の子音が続いた時や、T,D,B,P,K,Gなどの”破裂音”に子音が連なった時に、この音の消失が起こるわけですね。
・Take care→テイケーァ
・Just kidding→ジャスキディン
・Good boy→グッボーィ
などがそうです。
実際に発音してみようと思うと納得感があるのではないでしょうか?
破裂音に子音を被せようと思うと、実際に破裂音を発音するために舌は動けども、次の子音に釣られて発音に至らない感覚がわかるはずです。
その感覚こそが、ネイティブスピーカーが自然に音の消失を行っている感覚なんです。
補足:Hの消失
これは上級レベルになるので補足的にお伝えする、という意図になりますが
On her bed
Looks like him
のように、Hが母音に挟まる形になる場合に、Hの発音が抜けるパターンがあります。
On her bed→オンナーベッドゥ
Looks like him→ルックスライキム
のような発音になります。
フラップのT
Let it go→レリゴー という読み方には聞き馴染みがあるのではないでしょうか?
そう、ディズニーアニメ映画アナと雪の女王の代表曲「ありのままの自分で」の英語タイトルですが、「レット イット ゴー」ではなく、「レリゴー」です。
このT→Lに音が変化するという不思議な現象は”フラップのT”と呼ばれ
- Tが母音に挟まれている
- Tの先にくる母音にアクセントがついている
という時に発動します。
Let it go→レリゴー
Water→ワァラァー
About it→アバゥリッ
などがそうですね。
元々Tサウンドを発音する時の舌の位置と、Lサウンドを発音する時の舌の位置が近いことを意識すると、このフラップのTが発動する事が感覚的にわかるかと思います。
弱形
Rock ‘n’ rollという表記、一度は目にした事があるのではないでしょうか?
もちろんこれはRock and rollのandを省略した書き方になります。
このandのように、発音する上で省略しても推測可能な語句は、一部の音が弱くなったり省略されます。
それらは”機能語”と呼ばれていて、代名詞、接続詞、冠詞、前置詞などがそれにあたりますね。
・I think it is true but they wouldn’t believe. →tが抜けて「バッゼィ」という発音になります。
・I paid for the bill. → rが抜けて「フォザ…」という発音になります。
・Fish and chips. → aとdが抜けて「フィッシュンチップス」という発音になります。
機能語の逆は、”内容語”と呼ばれ、動詞・名詞・形容詞・副詞などがあります。
英語の音声変化の訓練方法【重要!】
「えぇ…こんなにたくさんあるのか…」
そんな風に思われたのではないでしょうか?
ご安心ください、書いている僕自身もそう思いましたし、僕自身がこの記事を「は~そういう法則で変化しているのかぁ~」と思いながら書いているまであります笑
「おい!」と思われた皆さん、もう少しだけ聞いていってください笑
実際に私は英語の音声変化について自信がありますし、それについて留学先のカナダで現地の友人から「キミの英語はナチュラルだよ、そういう日本人ってレアだよ」と何度も言われたという、自信についての根拠があります。
ではそのギャップはどこから生まれてくるのでしょうか?
私がこの記事でもっとも伝えたい事が実はここにあります。
これまでお伝えしてきた具体的な音声変化パターンを”覚える”というよりも”体感で習得していく”という感覚で取り組む事が重要だと言う事。(だからしきりに”感覚”を強調するために、これまで”感覚”を赤字にしてきたんですね。)
私自身、この記事を書きながら「へ~そうなんだ」と思いながら、「でも自分これ出来ているよな」という感覚も同時にあるんですね。
それはつまり、「頭による理解ではなくて、体感的な習得によってそれを得てきた」ということです。
これまでお伝えしてきた具体的な英語の音声変化パターンを全て覚えて意識するのは難しいですからね笑
では具体的にはどのように”体感的な習得”をしていけば良いでしょうか?
私がおすすめする訓練方法について3つご紹介しますね!
①ディクテーション
リスニング学習の王道のひとつですね!
「学校英語でやったことがある!」という方も少なくないのでは?
ディクテーションとは、英語の音声CDを流して、聞こえてきた音声を書きとるというもの。
これを行うことによって、文字のままの発音(My name is=マイ ネイム イズ)と、実際に発音された英語(My name is=マイネイミズ)の差を体感する事が出来ます。
それらを自分の耳から聞こえてきた英文と書き上がった英文を比較することで、英語の音声変化のパターンを体感的に掴む非常に効率的なトレーニング方法です!
②オーバーラッピング法
この記事を書いている間も何度も出てきました!
そう、英語の音声変化を習得する上でオーバーラッピング法は切っても切れない関係にあります。
リスニングCDなどの音声に被せて自分が復唱することによって、自分の発音をより自然な英語の発音や音声変化に”矯正”していくため、これ以上ないトレーニング法です。
英語のオーバーラッピング法については詳しくお伝えしている記事がありますのでそちらをご参照ください。
③シャドーイング
シャドーイング法はオーバーラッピング法と非常に似た学習方法です。
非常に有名な学習方法なので、「聞いたことがある!」という方も多いのではないでしょうか?
リスニングCDなどの音声を流し、聞こえてきた英文をそのまま復唱していく学習方法です。
オーバーラッピング法同様ナチュラルスピード・ナチュラルイントネーションについていけないと、そもそも音声についていけなくなるのでかなり強制力があり効果の高い学習方法ですね。
リスニング音声だけではなく、電車やバスのアナウンスなど馴染みのある短文でも行える学習法なので、ぜひ意識してみてください。
英語の音声変化におすすめの教材はどれ?
①TOEICや英検など 目標資格の過去問音声
英語学習者にとって、モチベーションの維持が大きなカギ!
そしてモチベーションを維持する上で最も効果があるのが「成果を実感した時」なんですね。
そして、どんな時に成果を実感しやすいかと言えば、やはり目に見える「数字で」表れるのが一番実感しやすいんです。
TOEICや英検のCDでは、カジュアル過ぎず堅苦しすぎない音声を取り扱っていますし、ナチュラルスピード・ナチュラルイントネーションを取り入れるのにはピッタリです。
加えてそのまま目標資格の傾向把握と対策にもなるので一石三鳥ですね!
英検であれば、旺文社の全問題集とそのCDがおすすめです。
TOEICであれば、公式問題集や至高の模試600などが定番ですね。
TOEICはその需要の高さからか、模試と名の付くものでも、かなり簡易化されてしまって実際の試験と大きなギャップを感じてしまう英語教材も多く出回っているので、やはりこれら2つを選ぶのが無難です。
②TED Talks
「TED Talks」と言われてすぐに頭にイメージが浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
科学や医療、社会、政治などの社会的な権威のあるプレゼンターが、それぞれのジャンルについてプレゼンテーションを行うというものです。
私が英語学習をする上で2つ大切にしている事があります。
・1つ、成果を感じやすいかどうか
・1つ、学んでいて楽しいか
このTEDで取り扱われるプレゼンテーションは、話題が非常に社会的で、かつ最先端です。
英語の勉強と同時に、そのプレゼンテーションの分野についても非常に勉強になるので、そのプレゼンを聞き終える頃には、大学で行われるような濃密な講義を聞き終えたような高い満足感があります。
英語を学び国際人に向かうという視点では、一石二鳥の学び方です。
③お好きな洋画や海外ドラマ
「好きこそものの上手なれ」
とはよく言ったもので、好きな作品であれば自然と熱中出来ますよね?
先ほどまでに紹介した”しっかりとした教材”よりも優れている点は、自分が熱中しているが故に、話している登場人物の口調や感情もそのままにトレーニング出来るという事。
登場人物の振る舞いまでも完璧にコピーして、感情を想像しながらの学習で得られる効果は、”しっかりとした英語教材”とはまた格別のものになります。
またナチュラルスピード・ナチュラルイントネーションという観点においても、試験で用いられるような「完璧にキレイな英語」ではなく、「実際に用いられているスピード・イントネーション」をコピー出来ますね。
お好きな作品定めて、それに没頭するのがおすすめです。
④バスや電車のアナウンス
具体的な訓練方法の、シャドーイングのところでも触れましたが、電車やバスのアナウンスなど私たちの日常には意外と英語の音声が潜んでいるものです。
私は大学生の時に、地下鉄を使って通学していたのですが、その地下鉄から聞こえる”Please change here for the ○○ line”などの英語アナウンスをシャドーイング、またはオーバーラッピングしていました。
私が英語の発音に自信があり、留学先の友人から「キミの英語はナチュラルだよ」と言ってくれた経験というのもここに由来するものが強いです。
英語学習にアンテナを張り、意識をして英語を取り入れる事が非常に大きいということでもありますね。
まとめ
今回は大きく分けて以下の点から英語の音声変化についてお伝えして来ました。
- 英語は文字そのままを読むのではなく、連結や省略が起こる
- 英語の音声変化がわかると、リスニングやスピーキングだけでなく、リーディングなどのスキルにもリンクする
- 英語の音声変化の具体的な変化パターン
- 変化パターンを”覚える”ではなく”体感で理解する”事が近道
- オーバーラッピングやディクテーションによってそれが鍛えられる。リスニング音声やTEDなどがおすすめ教材である。
もうあなたは英語の音声変化がナチュラルイングリッシュの最大の近道であること、それをどのように鍛えるべきか知っています。
ぜひこの記事でお伝えしたことを活用して、あなたの英語学習を加速させてください!
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